英語民間試験(4技能試験)の種類や受験対策、申込の注意点などをまとめました。
大学入学共通テストへの英語民間試験の導入延期が発表されましたが、実は2020年の大学入試(一般入試、AO入試、推薦)の約50%では、既に英語民間試験が利用されています。
英語民間試験には数種類ありますが、せっかくなら効率良く高いスコアを出せる試験を受けたいですよね。
実際に試験を受けてみた感想や対策、申込の注意点などを詳しく説明していきます。
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英語民間試験(4技能試験)の種類
英語民間試験には数種類あります(文部科学省の対照表の順番で記載)
- ケンブリッジ英検
- 実用技能英語検定
- GTEC
- IELTS
- TEAP (TEAP CBT)
- TOEFL iBT
- TOEIC L&R/S&W
A1~C2とCEFRが定められており、上にいくほど英語力が高いということになります。
ケンブリッジ英検 FCE
日本では知名度が低いですが、欧州では進学や就職の際、外国人の英語力を測定するためによく使われています。
娘は英国留学中に「PET」、帰国後にPETより1つ上の「FCE」を受験しました。
ケンブリッジ英検FCE 対策
FCEは、3技能試験に3時間以上要しますので、英語力に加え、集中力、テクニックが必要となるので過去問に慣れることが大切。
また、FCEの受験日程は限られるので、早めに予約することをおすすめします。
ケンブリッジ英検FCE 受験した感想
夏休みの平日ということもあり、受験した7割は学生(中、高校生)でした。
Speaking(ペア面接)は2人1組、娘のパートナーは中3男子。小学生時代をアジアの日本人学校で過ごし、英検準1級保持者、現在は都内No.2の男子校に通っているとのこと。
昼休みに雑談し、彼の背景を聞いただけで娘は相当緊張したそう(爆)
パートナーとは、事前にコミュニケーションを取っておくと本番でスムーズに進行できます。
ちなみに息子が通っている私学でも毎年ケンブリッジ英検の受験は必須なので、徐々に日本でも広がりをみせているのでしょうか。
- 受験料:19,980円
- 受験日程が限られるので早めに申込する
- 面接パートナーとのコミュニケーションは大切
英検準1級
日本人には一番馴染がある英検。大学入試で求められるのは2級程度から。
2級から急に難易度が高くなりますので、人によってはTOEICの方が高いスコアが出ます。
英検対策の参考書は多数ありますので、単語力をつけつつ、過去問に慣れることが大切です。
ちなみに英検1級の2次面接の面接官は、某大学の国際系学部の外国人教授でした。
1級となると面接官も教授レベルになります。
- 受験料:6,900円
- 2級以上は単語力をつけつつ、過去問に慣れることが大切
GTEC
英語力が測定できるスコア型英語4技能検定。
外部で受験するというよりは、校内受験を行っている高校が多いです。
娘も校内受験しかしたことがないので詳しい情報は分かりかねます。
IELTS
日本では、英検が主催しているので申込方法は分かりやすいです。
IELTSは英国発、主に大学入学時の英語力を測定するためのテスト。
最近は急速に需要が拡大、Academicテストはほぼ毎週土曜日に開催されています。ただし、キャパが少ないのか?満席のことが多いので、早めに申込することをおすすめします。
英検同様、受験会場を選べないのが難点(TOEFLは選べます)
日程によっては、2日連続で試験を受けないといけません。
拘束時間が長いので2日間に分けた方が良い方、1日で全て終えたいなどご自身に合うスタイルで選べます。
IELTS 対策
IELTSの過去問は沢山発売されています。
娘が使用したのはケンブリッジが発行しているIELTS11-13(現在15まであります)
洋書なので値段が高いですが(3,000円~)とても良いテキストです。
数字が小さいものが低いレベルとなり、ハイスコアを目指すのなら難易度の高いもの(13や14)を選んでください。
IELTSはTOEFLより身近なトピックが多いです。しかし、イギリス英語が使われているため、アメリカ英語とは異なる点があります。
また、「紙」でのテストなので、タイピングが苦手な方には受けやすいです。
IELTSのスコア換算
IELTSのスコア換算にはからくりがあります。
4技能の総合スコアは、0.5きざみですが、5.125や5.25の中間スコアの場合、切り下げや繰り上げが行われます。
5.125より、あと少し頑張って5.25を取った方がお得なのです(笑)
大学出願の際のスコア5.0と5.5では大きな差となります。
娘のスコアを後述しますが、前回より頑張っても、切り下げ対応のスコアだと総合スコアが変わらないという残念な結果となります。
娘は目標スコアが7.0のため、複数回も受験しました。
高2の2月受験 スコア6.5(平均6.25→繰り上げで6.5)
Listening 6.5
Reading 7.5
Writing 5.5
Speaking 5.5
高3の6月受験 スコア6.5(平均6.5)
Listening 7.5
Reading 6.5
Writing 6.0
Speaking 6.0
高3の8月受験 スコア7.0(平均7.125→切り捨てで7.0)
Listening 9.0 ←驚異の満点!
Reading 7.0
Writing 6.0
Speaking 6.5
7.25あれば7.5を取ることができたのに・・・(涙)
IELTSスコアのからくりをお分かりいただけましたでしょうか?
- 受験料:25,500円
- 毎週土曜日開催、土日2日間の日程あり
- 混み合うので早めに申込する
- スコアは「0.25」刻みで取得するとお得
TEAP
上智大学と日本英語検定協会が共同開発した大学入試向けの英語運用能力測定試験で英語4技能テスト。
試験は年3回のみ、高2以上しか受験資格がないので受験タイミングが難しいです。
うちの子は受験しませんでしたが、受験した子の感想によると、難易度は高くないそうです。
- 受験料:15,000円
- 年3回の開催、受験資格は高2以上
TOEFL iBT
日本国内でも受験しやすくなりました。
英語のHPを日本語に訳したスタイルなので申込など分かりにくいです。
そして、国内ではiBTというPC上のみでの試験しか行われていません。
Writingはタイピング、Speakingはマイクに話し込み、録音する方式です。
TOEFL 対策
Readingは、心理学など日本語でも難解なトピックがありハードルが高いです。
(TOEICがものすごく簡単に思えるレベル!)
娘のようにタイピングが遅いと、英語力があっても結果が出ない恐れがあります。
英語力と並行してタイピングの練習をしておきましょう(若い子はすぐに習得します)
娘の場合、TOEFLには苦戦しまして、3回受験しましたが思ったほどスコアが上がらなかったので、途中で捨てました(笑)
娘が使用した参考書はこちらの3冊。
- 受験料:USD235
- 受験会場が選べる
- 申込後日程変更やキャンセル可(手数料がかかる)
- タイピング必須、PCに録音する方式
TOEIC L&R
英語によるコミュニケーションとビジネス能力を検定するための試験。
今まで紹介した中で一番難易度が低いと思います。
ただ「ビジネス能力」と記載されるだけあり、英語を用いて仕事をしたことがない学生には難しく感じる点もあります。
SNS世代の若い子は、メールで文章を打つ経験がないので、TOEICのEメールの問題でつまづくこともあります。
TOEICこそ過去問をやりこめば高スコアが出ます。
- 受験料:5,725円
- 過去問をやりこめば高スコアが取れる
TOEIC S&W
TOEICといえばL&Rが主流ですが、S&WはSpeakingとWritingに特化したテスト。
400満点です。
娘は1回だけS&Wを受験しましたが、対策する時間がなく、ネットで見つけた例題を私が解いてみましたが、そこまで難しくないです。特にWriting。
TOEIC S&W 対策
Eメールに返答するタイプの問題は、L&R同様、多少なり英語を使用した業務についている人には難易度は高くありません。高校生なら過去問に慣れておけば大丈夫です。
WritingはタイピングなのでPCに慣れておく必要があります。
TOEIC S&W 受験した感想
Speakingは、ヘッドマイクを付けてPCの前に座り、録音チェック後にテストが行われます。
事前に録音テストをするものの、答えるタイミングでないのに答えてしまうことがあり、ちゃんと録音されたのか不安を感じました。
Writingはタイピングスキルさえあれば問題ないです(難易度は高くない)
TOEIC S&W 注意点
S&Wは1人1台のPCが必要→場所が限られる→受験料が高い理由かもしれません。
しかし、受験会場が選べますし、TOEFLのように日程変更やキャンセル(要手数料)ができます。
反対にキャパが少ないので、前もって申込しないと満席の場合あり。
娘が受験した都内の会場は20人ほどで、大半が大人の受験生でした。
ちなみに埼玉の某会場は受験生が2人だけだったので、満席の場合は場所を変更してみてください。
難易度は高くないけど、採点基準が定まらない???
Speakingは、英検2次面接のように「対人」でやらないと不公平な気がするのは私だけでしょうか・・・採点はちゃんと録音できたかに左右されそうです。
- 受験料:10,260円
- 受験会場が選べる
- 申込後日程変更やキャンセル可(手数料がかかる)
- 受験会場のキャパが少ない(早めに申し込む)
- タイピング必須、PCに録音する方式
TOEIC L&R+S&Wの4技能スコアの出し方
L&Rのスコアはそのまま、S&WはスコアX2.5倍にします。
こちらは娘のスコアですが・・・
L&R 890
S&W 300→750 (300X2.5)
4技能合計スコア:1640 ということになります。
TOEIC 学校発行のバウチャーとは?
高校でTOEICの受験を推奨している場合は、受験日は指定されますが、受験料が割引になるバウチャーを発行している場合があります。
申込は各自でやりますが、決済画面でバウチャーコードを入力すると受験料が割引になります。
申込前に学校に問い合わせてみてはいかがでしょうか。
受験スケジュール
高校2年生の夏休みから英語民間試験を怒涛のスケジュールで受験しました。
- 7/29 TOEIC L&R 850
- 8/23 ケンブリッジ英検 FCE合格
- 10/07 英検 準1級 1次合格
- 10/14 TOEIC S&W 300 ※スコア計算はX2.5倍→750
- 10/28 TOEIC L&R 890
- 11/04 英検 準1級 2次合格
- 12/04 TOEFL 63
- 2/02 IELTS 6.5
- 4/06 TOEFL 78
- 6/01 IELTS 6.5
- 6/15 TOEFL 83(このタイミングでTOEFLを捨てる)
- 7/27.28 IELTS 6.5
- 8/17 IELTS 7.0
娘はAO入試を目指したので、上記の通り少しでも高いスコアが出るまで複数回受験しました。
※一般入試を目指している方は複数回受験する必要はありません。
AO入試の出願が9月開始のため、英語民間試験受験のタイムリミットは8月。
(結果が出るまで2週間ほどかかるので)
英検の受験料がリーズナブルに感じるほど、英検以外の受験は高額です。
受験料の総額・・・
得意な英語民間試験を見極める
英語民間試験を大学入試に導入するには賛否ありますが・・・
これらの試験で同等の英語力を測定するのは無理があると個人的には思います。
子どものスコアで検証しますと(青枠が娘のスコア)、一番高いCEFRはIELTSの「C1」となります。
娘はイギリス英語に慣れていることもあり、IELTS対策がしやすく、IELTSで一番高いCEFRを出すことができました。
しかし、IELTSの7.0と8.0のCEFRは同等ですが、難易度は大きく違います。
また「B2」のTOEFLの72-94とTOEICの1560-1840が同等というのは明らかにおかしいです。TOEFLとTOEICは難易度が全く違いますから。
というわけで、これらの試験で英語力を測定するのは無理があると感じています。
しかし、現実的に日本の大学受験ではこのシステムが導入されているので、スコアを取りやすい試験に特化して対策するしかないのです。
終わりに
英語民間試験には種類がありますが、スコアを出しやすい試験を見極めてください。
個人的にはTOEICやTEAPが高いスコアを出しやすいように思います。
Writingはタイピングが必要な場合があり、Speakingはマイクに録音するタイプもありますので、過去問と合わせて事前準備をしっかりしてください。
娘は複数回受験しましたが・・・複数回受験したからといって、高スコアが出るわけではありません(笑)弱点対策をしてからでないと受験料と時間の無駄になります。
また、受験生は英語民間試験だけに集中するわけにはいきません。
高校の定期試験対策も必要ですし、受験勉強もやらなくてはいけません。
受験スケジュールは余裕をもって立てることをおすすめします。
親御さんは早めに試験の申込をしてあげてください。
受験したくても満席の場合はどうにもなりませんので・・・
コロナ禍で試験の延期など困難な局面ですが、今できる範囲でベストを尽くしてください!